弥紀のblog(仮)

アイドル、特にでんぱ組に関する妄想を語ります。twitter(@yaki2019)で記事の正式リリース告知および近況を呟いています。

「継承し続ける」という決意が生んだ新たな感動

前回に引き続き、「ワレワレハデンパグミインクダ」を聴いた印象をもとに膨らませた妄想をまとめる。

 

 

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新アルバムでの示された決意

制作スタッフが「ワレワレハデンパグミインクダ」に込めたメッセージは、次のステージに進む決意表明である。その決意とは、「萌えきゅんソングを世界にお届け」を「継承し続ける」ということだ。

 

決意には過去の総括が不可欠である。

 

「戦友」と笑い転げながらがむしゃらに駆け抜けた過去を、古き良き時代を感じさせるサウンドをバックに懐かしく振り返り総括する。それが、前回の記事のテーマでもあった、本アルバムを聴いて感じたノスタルジーの正体であった。

 

では、その決意はどこで表明されたのだろうか?

 

アルバム11曲目エバーグリーン終わらない幸せを限りある僕ら繋いでいこう*1だ。

「僕ら」はもちろん残るメンバーであり、「幸せ」は萌えキュンソングが聞き手に与える、いわゆる「多幸感」である。それが冒頭の解釈につながる。

 

エバーグリーン

エバーグリーン

  • provided courtesy of iTunes

 

卒業ソング2曲の関係に見る卒業式の構造

エバーグリーンと絢爛マイユースは、ねむさんの卒業にちなんだ曲と言われているが、卒業ソングがアルバム内で2曲続くのは少し違和感を感じないだろうか。

筆者の解釈は、それぞれ、卒業式の送辞と答辞に対応しているというものだ。

 

エバーグリーンで在校生が思い出を振り返りながら前述の決意を唱和する。それを受けて、曲の最後で卒業生であるねむさんが「キミがくれた今をこれからも生きていくよ」と返し、答辞である絢爛マイユースになだれ込んでいく*2

 

以上は妄想とばかりも言えない。卒業公演でもこの構造をベースに、より効果的な演出が加えられたからである。

まず、送辞であるエバーグリーンの直後に、ねむさんからねもちゃんへのミントグリーンの継承が行われた。在校生の総括と決意表明を受けての行為だ。

 

とはいったものの卒業生が抜けることに不安がないわけではない。そこで、でんでんパッションを全員で歌い、在校生だけでなく、周りの不安も打ち消す。

 

それを受け、答辞として、アンコールの絢爛マイユースを歌い、卒業生の立場から、思い出を振り返り、感謝の念を在校生に伝え、最後にWWDBESTでグループ全体を総括し、さらなる歴史と伝統を積み上げを在校生に期待する。

 

これが、卒業公演の送辞・答辞の構造である。

 

曲名の「エバーグリーン」も示唆的である。

想い出がエバーグリーンであると同時に、でんぱ組自体が新陳代謝を通じて「エバーグリーン」でありたいと言っているように思える。ねむさんの担当色であるミントグリーンとのダブルミーニングであるが。

決意表明に至るまで

それでは、なぜ今、決意表明をしなければならなかったのか?

 

この決意表明の原点は、2016年後半から始まる激動の2年間だ。

ねむさんからメンバーへの卒業の意思表明、ライブ活動一時休止、もがちゃん脱退など、グループの存続にかかわるような事態が次々に起こった。

 

それらを通じて、各メンバーはグループに対する想いを見つめ直し、覚悟を新たにした。でんぱ組を続けたい、と。

 

最初は不本意なものだったかもしれないが、新メンバー加入による新体制で続行していくことを選び、それが正しい選択であったことをパフォーマンスを通じて認めさせていった。

 

でんぱ組は、スタッフがメンバーの心情に寄り添い、その心情を楽曲に編み込むことで、歌の説得力と、いわゆる「エモさ」を生み出すことを特徴とするグループである。

 

メンバーの心情は、2018年リリースの曲にストレートに反映された。旧6人体制に対しまだ未練を持ち、7人体制に対し不安を感じているファンに対し、力強い曲調や歌詞の楽曲を通じて新生でんぱ組をアピールした。

 

そして「エバーグリーン」が発表された。


この曲には、先に述べたように「継承し続ける」決意が明確に歌詞に込められている。

 

W.W.Dとの共通性

卒業公演ではエバーグリーンで、総括と決意表明を行ったわけであるが、この楽曲とパフォーマンスによる総括と決意表明という構造は、あのW.W.Dと共通している。


W.W.Dでは、マイナスの過去の総括と、アイドルとしての決意表明を、楽曲と、そしてあの独白からの歌唱という少々荒削りのパフォーマンスを通じて行うことで、とてつもない感動を生み出した。武道館1回目での演出もひたすら感動的である。

 

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一方、今回の総括と決意表明は、夢眠ねむ卒業というイベントに内包させることで、洗練された形で行われた。

前述したミントグリーンの継承と、アイドル人生最後の曲として総括曲であるWWDBESTを選んだことに加え、自らファンとして新6人体制のFuture Diverを見守るという行動で、継承し続けていくことを全力で肯定したことがそれだ。

 

こうしてみると、卒業公演での「エモい」ポイントの多くが、総括と決意表明に関連するものであることがわかる。それを、残るメンバーではなく卒業するねむさんが主導する形になっているのが非常に粋で、ねむさんらしい。

 

これらの演出はトータルとして、種類は異なるものの、W.W.Dに匹敵する感動を与えていることは世間の反響を見れば明らかだ。

 

このようにして、でんぱ組は、夢眠ねむ卒業と同時に、総括と決意表明をとてつもない感動とともにやり遂げた。

そして、でんぱ組の物語は更新され、W.W.Dの感動は伝説となった。

 

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*1:「限りある僕ら」の意味が少々あいまいだが、「限界はあるかもしれないが僕らは」とここでは解釈した。

*2:個々には上記解釈と矛盾するような歌詞断片もあるかとは思うが、全般的にエバーグリーンは残るメンバーに寄り添い、絢爛マイユースはねむさんに寄り添っている。そもそも同じような視点の卒業ソングを2曲出すわけがないではないか。