弥紀のblog(仮)

アイドル、特にでんぱ組に関する妄想を語ります。twitter(@yaki2019)で記事の正式リリース告知および近況を呟いています。

心に響く未鈴の言葉 第1回「私にはこれしかないんです。これしかないから、これでやっていくんです」

みりんちゃんの言葉をテーマにした新企画開始。

その他のみりんちゃん(古川未鈴)関連の記事はこちら

目次

 

企画の趣旨

でんぱ組を聴き始めて1年余り、はまってしまってから約半年。

メンバーのブログやインタビューを読み漁っていくと、みりんちゃんの言葉に強く心を動かされることに気づいた。この娘はただものではない!?

そこで、彼女の言葉を文脈とともに紹介して、そのすごさを少しでも多くの人と共有したいと考えた。本企画の趣旨はそれである。

なお、「私たちがこれまでやってきたことは間違っていなかった」など、有名な発言は取り上げない。知識も文才もない筆者に語る余地は少ないからだ。

本企画では、ネット検索をしてもあまりヒットしない、ニッチな一言にフォーカスしていく予定だ。 

 

「私にはこれしかないんです。これしかないから、これでやっていくんです」

でんぱ組プロデューサーの「もふくちゃん」は若者文化に関する論客としても有名である。彼女には「日本の若者は不幸じゃない」という著書(共著)があり、その中で現代の若者像の一例として、2ページに渡ってみりんちゃんを取り上げている。

日本の若者は不幸じゃない (ソフトバンク新書)

日本の若者は不幸じゃない (ソフトバンク新書)

 

第一回目で取り上げるのは、その中のみりんちゃんの言葉「私にはこれしかないんです。これしかないから、これでやっていくんです」である。

前後を含めて引用する。

最初に会ったとき、私が彼女に「どうしてアイドルになりたいの?」と尋ねると、彼女は「私にはこれしかないんです。これしかないから、これでやっていくんです」と言い切りました。

 

同様の主旨の発言を彼女は他でもしているが、筆者にとってはこれが一番心を打った。「これ」を3度もくり返すことで、強い覚悟や初期衝動を的確に伝えている。すぐれたレトリックだ。当時の彼女は正直いって、少々語彙も表現力も稚拙だったが、いざというときに振り絞る言葉は、力強く、聞く人の琴線を震わせる*1

 

みりんちゃんが吉河順央に誘われ、ディアステに初出勤したのは2008年1月であることから、この発言は2007年末から2008年前半のものだろう。"inc"のつかないでんぱ組結成の約1年前である。ちょうどそのころの微笑ましいツーショットプリクラがみりんちゃんのブログで見られる。

 

ameblo.jp

 

なお、このブログの最初の方は、チャンスを求めて悪戦苦闘するみりんちゃんの姿を知ることができる。このブログを最初から読んだのち、でんぱ組のパフォーマンスを見ると感慨深さが一層高まる。未見の人には強くお勧めする。

 

もふくちゃんによる、みりんちゃんの言葉の引用もおそらく誇張のないものであろう。 もふくちゃんはよく話を「盛る」とメンバーから言われるが、それはプロデューサーとしてのグループのアピールのためである。もし「盛る」のであれば、でんぱ組(執筆当時はおそらく4人時代)の名前も出しているだろう。

 

「"おつかれさま!"と歓声が沸き起こるのがうらやましくてしょうがなかった」

アイドルを目指した理由として、彼女は「いじめたやつを見返すため」とよく言うが、筆者は違和感を感じていた。ポジティブな方向へ向かう純粋な気持ちがまず先にあったはずだからである。ディズニーランドのパレードのダンサーへの憧れにも言及することもあるが少し弱い気がしていた。

この違和感を同書は解消してくれた。再び引用する。

どうして歌ったり踊ったりしたいのか、と聞くと、彼女は「私は学校のクラスで劇をやることなどにどうしても馴染めなかったけど、実はどうしてもやりたかった。テレビなどで見る、映画の現場でクランクアップすると"おつかれさま!"と歓声が沸き起こるのがうらやましくてしょうがなかった」と言うのです。
みんなで何かを作り上げて、お祭りのように盛り上がりたい、という気持ちをずっともっていたけど、実現できなかった。
それでアイドルになりたい、というわけです。

かなり違った風景が見えてこないだろうか。彼女が時折見せるあの熱さの源の一つはこれなのだ。グループアイドルへのあこがれも実はこれが大きな要因かもしれない。いろいろ考えさせる発言である。

その他、引用は控えるが、彼女の「アイドルになりたい」という想いに対する、もふくちゃんの分析も記載されており、本書は一読の価値がある。

 

W.W.Dにおける、前山田氏による歌詞や、独白に向けたYumiko先生との共同作業により、一般に向けてメンバーのストーリーがわかりやすくなり、ファン層を広げた。その半面、その過程でそこに至るまでの過程や、微妙な心の襞が失われた感がある。今回取り上げたような、W.W.D、特に独白以前の発言は、彼女たちの真の姿を知るために非常に貴重である。

 

*1:みりんちゃんの名誉のため補足するが、現在のみりんちゃんはお世辞抜きで語彙も表現力も豊かである。努力に敬服する