弥紀のblog(仮)

アイドル、特にでんぱ組に関する妄想を語ります。twitter(@yaki2019)で記事の正式リリース告知および近況を呟いています。

でんぱ組 物語論(4)2つの「本物」-3 2人のファウンダー

組織論から迫るでんぱ組論。全体の目次はこちら

1度目は本文、2度目は脚注を中心に読んでいただくのがお勧めです。

キーワード:グループダイナミクス、求心力の消滅

 目次

前回、でんぱ組を次のような特徴を持つスタートアップ企業としてモデル化した。

  • 個性の強いプロジェクトマネージャの寄り合い所帯
  • その出自ゆえ絶えずバラバラになろうとする力が働く。それをまとめるのが、もふくちゃん、みりんちゃんという2人のファウンダーの求心力

yaki.hatenablog.jp

 

今回は、本モデル(以下「2人のファウンダーモデル」と呼ぶ)を用いて、でんぱ組の歴史を再解釈してみたい。

ここではモデルを直感的に理解できるよう下図の表記を併用する。

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本図の6つの〇は各メンバー、そしてその色は言うまでもなくメンバーカラーである(第1次6人時代を想定)。メンバーから延びる矢印の向きは、メンバーの指向性に相当する。

また、中央の柱は求心力の向かう先を表わし、メンバーの指向性が柱に向くことでその求心力を示す。

  

順風満帆期

初期のでんぱ組を束ねる求心力は、ファウンダーの一人であるもふくちゃんの音楽やビジュアルに対するコンセプトであり、それはまさに上の図の状態であった*1

斬新なコンセプトの下に力を結集したでんぱ組は怒涛の進撃を行い、大成功を収め世間からも注目された*2

この時期、もう一人のファウンダーであるみりんちゃんは「わたしたちがやってきたことは間違ってなかった」などの強い言葉でグループの想いを代弁してきた。しかし、求心力という点では消極的であり、アイドル求道者としてメンバーにその背中を見せるのが彼女の役割であったように思われる*3

 

迷走期

2014年くらいから*4もふくちゃんがでんぱ組のプロジェクトからフェードアウトする。次の基軸を打ち出すべき時期に、求心力であるコンセプトメーカーを失うことになった。

しばらくは慣性が働いたものの、徐々に迷走が始まり、メンバーの方向性がばらついていく*5*6(下図参照*7。中央の点線の柱は以前存在した求心力を示す)。

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特に初期でんぱ組のコンセプトに惹かれた参加した*8もがちゃんにとって、その影響は特に大きかったのではないだろうか。

 

グループの活動は蛇行し*9*10、それだけが理由でないにせよ、精神を病んだもがちゃん*11はついにグループ脱退に至る。

 

この危機的状態において、もう一人のファウンダーはついに覚醒する。

 

⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡

今回、2017年のもがちゃん脱退までの歴史を「2人のファウンダーモデル」で再解釈した。

本モデルに基づくと、第1次6人時代末期のグループ崩壊寸前に至ったのは、もふくちゃんというファウンダーでありコンセプトメーカーがプロジェクトから抜けることで求心力を失ったためと読み解ける。その過程をまとめると下図のようになる。

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次回はもう一人のファウンダーであるみりんちゃんの覚醒以降の歴史について解釈し直したい。 

yaki.hatenablog.jp

 

脚注

*1:もちろん前々回に採り上げたように、アイドル横丁杯や武道館などの短中期的な目標も求心力に貢献したものの、メンバーが共感できる、グループとしての確固たるコンセプトやビジョンがあってこそである

*2:成功に当たってはビジュアル担当としてヘッドハンティングした、もがちゃんの言動に触発された「マイナスからのスタート」というコンセプトが大きく貢献したのは言うまでもないだろう。

*3:この時期のメンバーインタビューでしばしば見られるのは、ねむさんやインタビュアーに促されてやっと発言するみりんちゃんの姿だ。職人気質の協同創業者はスポークスマンをもう一方に委ねる傾向にある。前回の例えを使い悪乗りするならば、盛田昭夫に対する井深大Steve Jobsに対するSteve Wozniakを思い出してほしい。

*4:以下の発言に基づく。

もふくちゃん : そうですね、この間の武道館はやってないんで、ここからですね。「でんぱーりーナイト」(2014年)では曲は見てたから、それ以来。

新しい時代に、新しい刺激とワクワク感を! でんぱ組.inc 古川未鈴 × もふくちゃん座談会 - OTOTOY

*5:楽曲的に円熟の域に達するのは皮肉なものである。完成度では未だにGOGO DEMPAおよび最Ψ最好調!を超えられていないと個人的に思う。

*6:方向性のバラつきについては次のように各メンバーが示唆している。

みりんちゃん:

なんと言うか、みんなそれぞれ違う意見や方向性を持っていて、

中略

ただそういう感じで何年もやってきて、まとまりきらなくなってきたのがたぶんあの時期だったのかなって。

でんぱ組.incインタビュー|新体制でライブ再始動、古川未鈴が胸中語る - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

りさちー:

みんなが幸せな道は無いのかをめっちゃ考えた。

でんぱ組.inc 相沢梨紗オフィシャルブログ「2.5次元伝説!」Powered by Ameba -7ページ目

もがちゃん:

今はカッコ付きで「続けていきたい(みんなが同じ方向を向けるなら)」って感じなんですよね。

やっぱり嘘はつけないし。そのためには6人がもっと歩み寄らなきゃならないなって思ってます。

『でんぱぼん4』

*7:〇の位置やベクトルの向きはあくまでもイメージであり、当時の状況を反映しようとしたものではない。深読みしないよーに(笑)

*8:下記記事の中盤参照

yaki.hatenablog.jp

*9:2016年後半から2017年前半にかけてでんぱ組に何が起こったのか。新規ファンである筆者はそれを追い求めたが、憶測ばかりで信じられる情報は見当たらなかった。当時を振り返るメンバーの証言でもその理由は一切言及されておらず、その理由が表に出せないものだったのは間違いない。それにしてもファウンダーを次のような状態に陥らせるというのは、企業で考えるとクーデターなどの異常事態を連想させるのだが。

当時、はんぶん気が狂ってて、マネージャーさんに「引きこもりを脱出する方法を一緒に考えてくれませんか」みたいな文を結構真面目に送ってて、今考えると何送ってんだって思います

 『 MARQUEE Vol.126』「でんぱの帰還。新体制でんぱ組.inc」 p.15

*10:物事には功罪両面がある。この期間にみりんちゃんはヤモリを飼い始め、えいたそは舞台で演技力を磨くなど、次の成長に向かうためのまさに充電期間となった。この充電がなければプリキュアも結婚もなかったのではないだろうか。

*11:「もう消えたいっていう自分と毎日闘ってる」 最上もが、でんぱ組脱退後初のロングインタビュー (1/4)