タイトルの通りの内容です。
目次
H ZETTRIOの証言
N「テンポはすごい早かったし、ほんとに歌えるのかって思いましたね(笑)」――どのくらい速いんですか?N「3人でやる速い曲はいっぱいあるんですけど、それらと比べても早いよね」M「早いよ、BPM200くらいかな」N「我々が普段やっている曲でも早いって思われるんですよ、それなのに」
「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」のレコーディングの際のH ZETTRIOメンバーの証言だ*1。
でんぱ組にとっての「速さ」の意味
上で触れたBPMおよび、それに伴う早口の歌詞は、でんぱ組の楽曲の特徴である。ここではこれらを総称して「速さ」と呼ぶ。
では「速さ」はでんぱ組にとってどのような意味を持つのであろうか。
感動の促進剤としての「速さ」
成長のドライバーとしての「速さ」
「速さ」は、グループの成長のドライバーでもある。
速い曲を歌って踊るためには体力が不可欠だ。したがって基礎体力をつけ、なおかつ無駄のない動き方、歌い方を身につけることになる。これが歌唱力を含む、パフォーマンス力の向上に繋がった*3。
その効果が最も大きかったのがピンキーだろう。初期にはライブの最後まで体力が持たないほどだった。音程も壊滅的だった(失礼)。日常の研鑽と本番での実践を通じて、体力と同時に歌唱力も飛躍的に向上した。今ではその歌声はライブでなくてはならない存在だ。
コアコンピタンスとしての「速さ」
「速さ」はでんぱ組のコアコンピタンスの一つでもある。
コアコンピタンスとはWikipediaによると、「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他社に真似できない核となる能力」のことを指す。
でんぱ組のような速い曲を踊りながら歌えるようになるには一朝一夕では困難だ。苦労してやったとしても亜流と言われるだけだ。誰が真似するだろうか。
すぐれたビジネスパーソンであるみりんちゃんはその価値をよく自覚している。7人体制の最初の曲である「ギラメタス・でんぱスターズ」のその「速さ」に対する想いに刮目だ。
「子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡」の意義
電撃的に発表された「子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡」。
メンバーによる合いの手や、少しチープなシンセの音、小池アニキ的な派手なギターソロ、キュートな高い声は、ファーストアルバムへの原点回帰を感じる。
ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc![通常盤]
- アーティスト: でんぱ組.inc
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2011/12/14
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そして特筆すべきなのはBPM200に加え、でんぱ史上最速な早口。
ここまで読んできて頂いた方なら、このタイミングでこの曲をリリースした意味がわかるだろう。ねむさんが抜けた新体制、戦力ダウンが否めない状況において速さの新しいスタンダードを打ち立て、コアコンピタンスの強化・更新を図ることだ。
この場を借りて主張したいが、本曲の椅子を使った振付はすばらしい。ラスベガスのショーなどにインスパイアされたものであろうが、ちょこまかとした動きが曲や衣装と調和して可愛らしく、エンタテインメントとしての新境地を開いている。
H ZETTRIOへの伝言
みりんちゃんは上記のインタビューでこう告白している*4
「仮歌を聴かせてもらった段階で、スタッフさんに〈未鈴ちゃんこれどう思う?〉って訊かれたとき、〈もっと速いほうがいいんじゃないですか〉って言っちゃって(笑)、〈じゃあそう伝えておきます〉って。だから(高速なのは)私の責任でもあるんです。
みりんちゃんのせいですよ、速いのは(笑。曲は違うけど)。
*1:このインタビューは、でんぱ組の音楽に対するミュージシャンとしての素直な感想が述べられており、非常に貴重である。未見の人は是非読んでほしい。特に曲のキーに対するディレクター(YGQ氏?)とのやり取りの再現は見ものである
*2:「情報量」⇒「情報密度」に変更(9/7)。
*3:でんぱ組メンバーの体力については、大阪城ホールライブに向けての特訓に参加した、ねもちゃんの証言が参考になる。ウォーミングアップでこれである。
最初に「ウォーミングアップだけ参加してみよう」というときがあって、部屋の間をジャンプして往復したりとか、飛んでまわって往復したりするみたいな、いつもやってるアップに参加させてもらって、その日にすぐ動けないほどの筋肉痛に襲われて、「これ無理なんじゃないか」って(笑)
*4:本稿は、実は「心に響く未鈴の言葉 第6回」として書き始めたものである。
「もっと速いほうがいいんじゃないですか」、みりんちゃんらしい男前な、痺れる一言ではないか。