弥紀のblog(仮)

アイドル、特にでんぱ組に関する妄想を語ります。twitter(@yaki2019)で記事の正式リリース告知および近況を呟いています。

ねもぺろ加入についての一考察

久しぶりに妄想大爆発です。

はじめに

ヤードバーズという伝説のロックバンド*1があった。

初期にギターを担当していたのがエリック・クラプトンだ。だれでも一度は名前を聞いたことがあるだろう。ギターの神様の一人である。

エリック・クラプトンはグループを電撃的に脱退し、その穴を埋めるために相次いで加入したのがジェフ・ベックジミー・ペイジだ。特にジミー・ペイジの加入は、プロデュース力の高さを買われてのものだ*2

 

どこかで聞いたようなストーリーではないだろうか。以下のアナロジーを想起させるよう意図的に寄せて書いているためである(笑)。都合の悪いことは書かない自由を行使しているが、少なくとも嘘はついてないつもりだ(興味のある方はWikipediaを参照)。

もがちゃん脱退からねもぺろ加入までのストーリーは、冷静に考えるとあまりにも異例である。そのことに今更ながら気づき、似たような事例を探している過程で見つけたのが冒頭のヤードバースのストーリーである。

 

メンバーが脱退したとき

メジャーなアイドルグループ、さらに多くのバンドもそうであるが、メンバーが脱退した場合、メンバーを補充しないケースが多い。メンバー脱退後に一切補充を行っていないグループ・バンドの代表例を以下に挙げる。錚々たる面子である。

  • 女性アイドル:ももクロ、BABYMETAL
  • 男性アイドル:KATU-UN、SMAP
  • バンド:サザン、ドリカム、クイーン*3

補充する場合は、公開オーディション(例:モーニング娘。)や姉妹グループ(例:AKB)などからの移籍など、ファンから見て透明性の高い形でメンバーの選考を行うことがほとんどである。ここではそれを「オープンな補充」と呼ぶ

一方、ねもぺろの加入は前日までファンに情報が開示されない状態で行われた。すなわち「クローズドな補充」である。

人気商売において、オープンな補充を行うのは普通に考えれば当たり前である。ファンに対して、新メンバー加入が正当であることの説明責任を果たさなければならないからである。オーディションは「手続きによる正当性」、姉妹グループから補充は、仮想的な「血統による正当性」に基づいて説明責任を果たしていると考えることができる*4

 

説明責任を果たさないとどうなるか。新メンバーがファンに受け入れられないだけでなく、グループがファンの不信を招き、最悪見放されてしまうリスクさえある。

 

これがねもぺろの加入が異例と感じた理由である*5

 

ねもぺろの場合

でんぱ組はアイドルであり、バンドに比べファンへの説明責任はより大きい。ねもぺろ加入はファンにその過程が見えない形で行われた、すなわちクローズドな補充であり、加入に際して十分な説明責任を果たしたとはとても言えない。

にも関わらず、新メンバーはファンに認められ、でんぱ組も未だに健在だ。残念ながら全盛期ほどの勢いはないし、他界したファンも多数いるが。

 

その理由は何であろうか。

ありきたりだが、新しい血を入れないとグループが終わってしまうという危機感に基づく強い覚悟を持って取り組んだことだろう。次に、でんぱ組メンバーとして相応しい存在になるためのねもぺろの努力、彼女たちは「実力による正当性」に基づく説明責任を果たした。

メンバーやスタッフだけでない。ファンの多くはメンバー、そしてグループを信じ続けた、よりすばらしいパフォーマンスを見せ、物語を紡ぎ続けてくれることを。

 

でんぱ組はクローズドな補充のリスクを管理することに成功したのだ。

 

蛇足

ここで思い出すのが、現上皇のお相手(美智子様のことである)発表である。

敗戦に伴い、皇室に新しい風を吹き込まないといけないという危機感があったと聞く。初の民間からの皇太子妃。これまでの皇族・貴族からのような「血統による正当性」はなく、もちろん選挙やオーディションによる「手続きによる正当性」もない。受け入れることを拒絶する人々によるいじめなどもあった。そこを自身の才覚と努力による卓越した立ち振る舞いを通じて、まさに「実力による正当性」に基づく説明責任を果たした。多くの日本国民も信じ続けた。

ねもぺろはレベルは格段に違うにせよ同じような立場だったということだ*6。尊さに目が潤む。

*1:近年「伝説のロックバンド」という言葉がインフレ化しているが、ヤードバーズこそその言葉にふさわしい。

*2:そのプロデュース力の高さは、後に自身がリーダーおよびギタリストを務めた、かの有名なロックバンド、レッド・ツェッペリンに発揮される。

*3:現在もボーカルは空席である

*4:もちろん興行上の理由が一番大きいが、それをここで言うのは野暮である

*5:なお、説明責任を果たさなくてよい場合も当然ある。クローズドな補充を行ったグループとして、冒頭のヤードバーズのほかに、TOTOヴァン・ヘイレン、シカゴ、DA PUMPなどが思い浮かぶ。

これらのグループは以下のように「アウトプット重視」と「リーダー重視」に分類できるように思う。ここで「重視」とは、ファンが重視するものであり、「アウトプット重視」の場合、誰が演奏しようがアウトプットさえよければファンは満足し、「リーダー重視」の場合、極論を言えば、リーダーさえ同じであれば、他のメンバーは誰でもよい、いわゆるワンマングループということを意味する。これらのグループは共通して、ファンに対するメンバー補充の説明責任が不要あるいは小さいと考えることができる。

 

*6:不敬罪がない世の中でよかった