新アルバムを聴いて
「ワレワレハデンパグミインクダ」を聴いて最初の印象はノスタルジーだった。アルバム12曲中3曲が、アルバムのテーマの一つである「夢眠ねむ卒業」に沿った、よき思い出を振り返る歌詞となっているのが最大の理由だろう。ワレワレハデンパグミインクダ (初回限定盤)(CD+DVD)
- アーティスト: でんぱ組.inc
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2019/01/01
- メディア: CD
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音楽的にもカントリー、ブルース、ロックンロールなどの、いわゆる古きよきアメリカ音楽の要素をフィーチャーしていることも大きく寄与している。このような、歌詞と曲調の相乗効果により、夢眠ねむの卒業を美しく演出していると感じた。
ノスタルジーは、これまでのでんぱ組にはなかった異質な要素である。
でんぱ組の楽曲に共通して流れるコンセプトの一つは、マイナスな過去・現在から未来に向かってポジティブに進むというものであり、またそれが大きな魅力である。そこでは、過去は克服されるもの、あるいは現在を生き未来に進む糧でしかない。
「戻りたい過去なんてあるわけない」のである。
それが、本アルバムでは、「0から始まった全てを100に変えてきた日々を永遠に君に想うよ」「想いではいつも眩しすぎるけど」「思い出と君の声が時をかけていく」のように、過去はそれ自体に価値があり、愛おしい存在である。現在・未来の引き立て役だけではない。
今回のアルバムは12曲中3曲がノスタルジーを感じさせるものとなっており、これは作り手の意思を感じざるを得ない。
そして、ディズニーランドへ
その意思の1つは、でんぱ組の「ディズニーランド化」だと私は考えている。
妄想もいい加減にしろと思われる人もいるかもしれないが聞いてほしい。
ディズニーランドの魅力の要素を粗雑にまとめると、シンデレラ城に代表される「ファンタジー」、宇宙やカリブ海の「冒険」、ミッキーマウスなどの「キャラクター」、アメリカの古き良き時代に対する郷愁、すなわち「ノスタルジー」である。
この中で「ノスタルジー」以外は、でんぱ組をでんぱ組たらしめている要素であることにお気づきだろうか。
それぞれの要素を代表するキーワードを以下に挙げてみる。
ファンタジー:でんぱリーナイト、かぼちゃタンデム
冒険: FDシリーズ、「冒険」が含まれるツアータイトル
これは偶然だろうか。いや違う。
でんぱ組のセンターであり、ファウンダーでもあるみりんちゃんの小さい頃からの夢はディズニーランドのダンサーになることである。
でんぱ組のディズニーランド化が進むことは、ファウンダーの夢に一歩近づくことにつながる。
「でんぱ組は夢を叶える装置」という、ねむさんの名言がある。夢が叶うのは、本人の強い意思と周りの愛があるからこそである。ディズニーランド化のための最後の1ピースが揃うのが偶然であるわけがない。
新アルバムの裏テーマ
つまり、本アルバムは、「宇宙」「夢眠ねむ卒業」が表テーマだとしたら、「ディズニーランド化完成」が裏テーマなのだ。
そういう目で見てみると、本アルバム自体もディズニーランドになっていることがわかる。同一コンセプトの曲が隣り合っているのは、「トゥモローランド」「アドベンチャーランド」などのテーマランドを意識したものだろう。
M2. ギラメタスでんぱスターズ
M3. プレシャスサマー!
M6. FD3, DEMPA ROCKET GO!!
M4. 世界が私の味方ならば…
M11. エバーグリーン
M12. 絢爛マイユース
当初、「ワレワレハデンパグミインクダ」を聴いた際に、宇宙をコンセプトにしたといいながら、なんとなく取っ散らかった印象を受けたが、以上のように考えると納得がいく。