弥紀のblog(仮)

アイドル、特にでんぱ組に関する妄想を語ります。twitter(@yaki2019)で記事の正式リリース告知および近況を呟いています。

「破!to the Future」のBPMについて

「破!to the Future」のBPMについての無駄話。

 目次

はじめに

名盤「GOGO DEMPA」の実質冒頭を飾る「破!to the Future」のBPMは240だと言われ、でんぱ組の曲の速さを語る際の代表曲となっている。

しかし、筆者は常々このBPM240に疑問を抱いていた。本稿ではこのことについて調査・検証した結果を報告したい*1。 

 

www.youtube.com

 

世間での言説

まず、「破!to the Future」のBPMについて世間でどのように語られているのかまとめたい。

まず、Wikipediaの記載をみてみよう。BPMは240とある。

配信限定シングルとして2016年1月8日に発売[24]BPMはこれまでのでんぱ組.incの楽曲で最も早い240である[13]

GOGO DEMPA - Wikipedia

 

その出典として挙げられているのが、ミュージック・マガジン 2016年5月号。「でんぱ組.incロング・インタビュー」で、音楽評論家 小山守氏は以下のように解説する*2

本作も過去最速BPM240でブッ飛ばす「破!to the Future」を筆頭にカオスなアゲ曲が並んでいるのだが、

 

タワーレコードのミュージック・レヴュー・サイト「Mikiki」で、音楽評論家 柴 那典も以下のように記している *3

BPM240の超ハイスピードなテンポに乗せて6人が代わる代わる歌い、


以上のように「破!to the Future」がBPM240であることは既定の事実のようになっている。

 

疑問と検証

では、なぜ筆者がBPM240に疑問を感じたかを説明したい。

冒頭の歌詞「あっけおっめーこっとよーろーで」を例にとって説明する。歌詞の内容とシンコペーションの譜割りとピンキーの歌声の組み合わせが絶妙な部分である。

この部分のメロディを聴くと「っけおめーことよーーで」の赤文字の部分に拍を感じる。楽譜に記すと4/4拍子で1小節に収まるであろう。この場合、♩=120すなわちBPMは120になる。

 

以上は一音楽愛好家の主観に過ぎない。そこで、BPM推定ツールを使って客観的に計測してみた。自身の感覚を裏付けるためである。

BPM Analyzer1.0を使用して計測した結果は120.00。

一つのツールだけだと何なので、別のツールとしてWaveTone ver.2.61も使ってみたが、やはりBPMは120と出る。

 

また、BPMや特徴・雰囲気で曲を検索できるサイトのTunebatには「破!to the Future」も載っていて、そこでもBPMは120となっている*4

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ちなみに同サイトに掲載されているでんぱ組の曲で最もBPMが高いのは「ノットボッチ...夏」で173である*5

あくまでもツールによる自動推定の結果だが、「破!to the Future」のBPM120は素人のたわごとではないとおわかりいただけるだろう。

 

さらに調べてみると

調べを進めていくうちに「続・でんぱブック」に作曲者のTom-H@ck氏の同曲のBPMに対するコメントがあることに気がついた*6

ーこの曲が、でんぱの中でBPM最速なんですよね。

「それは全然狙ったわけではなくて、むしろ遅いなと思ったくらいで(笑)」

ーそうなんですか。BPM240ですよね。

「はい。僕が『けいおん!』でやった中には、16分のシャッフルでBPM250の曲もあったんですよ(笑)。それが普通くらいかなと思ってたので」

 

これを読むと、 作曲者もBPM240と認識していることになる。DTMで制作しているであろうから、DTMソフトウェアの速度パラメータとしてBPM240が設定されているはずだからである。

ここで気になるのが『けいおん!』のBPM250の曲だ。調査したところ「GO! GO!  MANIAC」のようである。


GO! GO! MANIAC

 

 聴いてみると、「GO! GO!  MANIAC」はメロディも含めシャッフルなので、一つの「タータ」を1拍と解釈するとBPM250になる。これは感覚的にも納得できる。また、スネアドラムの入る位置もこの感覚を補強する。

「GO! GO!  MANIAC」のメロディも「破!to the Future」と同様の拍の取り方ができ、その場合はBPM125となる。各BPM検出ソフトやサイトの推定結果もBPM125である。しかし、前記のシャッフルやスネアドラムに着目するとBPM250が妥当だと判断される。

 

改めて聴いてみると

つまりメロディだけに着目していては、的確なBPMを感じとることができないということである。

この観点で、改めて「破!to the Future」を聴いてみた。

ドラムスとベースは手数が多くとてもBPM120とは思えない。特に大サビ部分(♪もしこれが♪)では、わかりやすくBPM240でバスドラム4つ打ちをしている。これは、BPM240しかありえない*7

 

ということで「破!to the Future」のBPM=240で納得。

調査・検証終わり*8。 

 

 

 

 

 

*1:筆者の好きな同曲のパフォーマンスは、最Ψ最好調! [初回限定版B]のDVDに含まれる、でんでんバンドをバックにしたものである。冒頭に貼ったライブPVと同じ編成なのだが、直前の「アキハバライフ」のインストからの繋がりとも相俟って、よりバンド感・ライブ感が強く魅力的だ。フェスでたまたま見たバンド少年がでんぱ組に惹かれるのもさもありなんである。どうでもいいことだが、Bメロのギターのピロリピロリをライトハンド奏法だということもこの映像で確認できる(笑)。

最Ψ最好調! (初回限定盤B)(CD+DVD)

最Ψ最好調! (初回限定盤B)(CD+DVD)

 

*2:ミュージック・マガジン 2016年 5月号

*3:【でんぱ組.inc GOGO DEMPA SONG REVIEW】第1回 前山田健一&Tom-H@ck製の高密度な新曲“破!to the Future”到着! | Mikiki

*4:画面の下の方に見える値もEnergyやHappinessなどのキーワードが面白い。100が上限値の模様だが、Energy=100、Happiness=87は直感にも合う。

*5:なお、「秋の葉の原っぱで」のBPMは156となっており、「破!to the Future」より高い(笑)。推定精度を少々疑ってしまう。

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*6:続・でんぱブック―でんぱ組.inc』「デンパクリエーターズ」,p.85

*7:BPM240とした場合、楽譜はどのようになっているのか興味がある。4/4拍子で、| あっけおっめーこ | っとよーろーで |のような2小節に分かれているのであろうか。これだと瞬く間に小節が進んでいくことになるが。

*8:こうしてみると、普段いかに自分がでんぱ組の音楽を漫然と聴いていたのかに気づき愕然とする。釈明させていただくと、移動中にしか音楽を聴かないためである。しかも使っているのは安いBTイヤホン(笑)。